秋
あっという間に11月が終わった。最近まで蝉が鳴いていたような気がするし、半袖でも十分に過ごすことができていたと思うのだが。歳月人を待たずとはよく言ったもので、時間は私の事情もお構いなしに留まることなく過ぎ去っていく。こんなことを考えているうちに年末を迎えるのだろう。
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秋になると、私には思い出す人がいる。此処では親愛を込めて「秋さん」と呼んでおこう。約8年前にTwitter(現・X)で知り合った方なのだが、秋さんは「20歳になったら死ぬ」とよく話していた。その頃の私は暗黒時代と云っても差し支えないほど深い底に沈んでいた時期で、メンタルヘルスの状態は非常に悪かった。希死念慮があって、頭の片隅には常に死が居座っていた。だから会ったこともない他人のことを気にしている余裕はなかったはずなのだが、私は秋さんに死んでほしくないと心の底から思っていた。放っておけなかったのだ。Twitterのダイレクトメッセージでよくやり取りをしたし、LINEも交換した。いつしか深夜に電話をするようにもなった。お互いに眠れない人だったから。私は電話で「生きていてほしい」と何度も伝えた。
──ここまで話しておいて残念なのだが、秋さんがその後どうなったのか、私には分からない。分かる術もない。秋さんが今も何処かで生きていてくれたらいいし、たとえ幸福に満ちていなかったとしても、日常に笑顔があるなら私は嬉しく思う。「生活音が好き」って言っていた秋さんのことだから、きっと今日も路地を歩いているときに何処かの家からフライパンで炒め物をする音を聞いてなんだかワクワクしているに違いない。きっと。