リカバリー
閉ざされた白い壁の病棟で過ごした43日間。あの夏、確かに私は人生に絶望して、その短い生涯を終えようとした。本来、生命とは悉く自らの保存を第一に行動すると思うのだが、脳に誤作動が起きると自ら死へと向かっていくらしい。それは、学術的にどうとかそういった類の話ではなく、私の体験から生じる確信めいた推論なのだ。けれども、あの夏、私は死ななかった。死ねなかった、と言い直すべきか。結局のところ、死ぬことが怖くて私には「それ」を選択できなかった。
──それで良かったと思う。辛いこと、苦しいことはたくさんあっても、幸福を感じる瞬間はそれなりにある。だから私は生に満足している。リカバリーという果てしない人生の旅路を、これからもきっと歩み続ける。