WRAPファシリテーター

 WRAPファシリテーター養成研修を10月30日(木)から11月4日(月)の5日間にかけて受講してきた。会場は新潟。私にとって初めての新潟訪問だった。

萬代橋からの景色(2024/10/29 撮影)

 新潟市は日本海に向かって信濃川が流れ、その上に萬代橋が架かる。ホテルから研修会場へと向かうたびに私は萬代橋を歩いて渡ったのだが、萬代橋から見下ろす信濃川の雄大さには心を奪われた。だから、昼休憩の際に会場から抜け出して川辺から信濃川を眺める時間が、私は大好きだった。街はとても清潔で、空気が澄んでいた。吹き抜けるひんやりとした風も心地がいい。街角の案内板によると、萬代橋には「いつまでも橋が続き、新潟の町が発展するように」との願いが込められているそうだ。2007(平成19)年4月1日、新潟市は本州日本海側の都市として初めて政令指定都市に移行し、橋に込められた思いを叶えるように現在も発展を続けている。

 さて、WRAPWellness Recovery Action Plan)について少し綴るとしよう。WRAPとは精神的困難を経験した当事者が開発したセルフマネジメントのツールであり、日本語では元気回復行動プランと訳されている。自分が元気でいるために、あるいは元気がないときには元気を取り戻すために、自分が作る「自分の取り扱い説明書」と説明されることもある。多くの場合、WRAPファシリテーターのもとに参加者が集まって交流し、対話を通してリカバリーについて学びを深める形式を取るが、個人でWRAPを作ることもできる。治療法ではなく、あくまでも治療を補完するという位置付けだ。

 私がWRAPに魅力を感じているのは参加者の主体性が尊重されていること、呼ばれたい名前(WRAPネーム)で呼んでもらえること、それ故にWRAPクラスに参加するとあたたかい気持ちになれることだ。WRAPを作る作らないは自由であるし、作るにしてもどのパートを作るかは個人の主体性に委ねられている。WRAPクラスに参加したとしても、決して発言は強要されない。発言すること、そのタイミングも個人の主体性に委ねられている。そして、本名を開示する必要がないため、気兼ねなくWRAPクラスに参加することができる。WRAPクラスの参加者の属性(年齢、性別、職業、病気の有無など)はさまざまで、その場に集った参加者全員で安心で安全のための合意を作成するため、あのあたたかさが生まれるのだと私は思う。

 この度のファシリテーター養成研修で、私は、私自身のアイデンティティが大きく揺らぐ経験をした。自らを当事者と支援者が渾然一体となった存在として自負していたのだが、その境界面に楔が打ち込まれたような強烈な体験だった。当事者として生きてきて、後に支援者としての自分を獲得した私。もはや自分がどちらかを決める必要はないし、決められないほど両属性が混ざり合ったという認識に立っていたのだが、WRAPクラスを模擬開催する演習を通して、両方の自分を使い分ける必要があることを痛烈に感じた。「頭の切り替え」とも云えるだろうか。しかし、切り替えようと思うのなら確かにそこには境界面があるはずなのである。電気のON/OFFがあるように、当事者性と支援者性のON/OFFができなければならない。これが今の私にとって非常に難しく、今後継続して取り組んでいきたい課題となった。この5日間の学びに感謝したい。

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