負けヒロイン

 テレビアニメ『負けヒロインが多すぎる!』(通称:マケイン)の11話を見終わった。ちょっと残念な八奈見杏奈、元気っ子の焼塩檸檬、人見知りな小鞠知花、彼女たちとの青春物語も残すところ最終話のみとなってしまい、寂しさを感じている。彼女たちの共通点は恋に破れていること、つまりみんな負けヒロインなのだ。恋が成就しなかった彼女たちの隣には本作の主人公・温水和彦がいるのだが、少なくとも11話の時点では、どのヒロインとも恋に発展しなさそうである。通常のラブコメであれば「どうせ最初に出会った八奈見杏奈とくっつくんだろう?」と確信めいた想像をする。しかし、マケインに至っては「このまま終わってしまったほうが綺麗なんじゃないか?」と思わされるのだ。ラブコメにありがちなハーレム展開ではないからこそ、予想がつかない最終12話に向けたドキドキが維持される。

 それにしても、マケインの作画は完成度が高すぎる。空模様であったり、影であったり、水道の蛇口であったり。細かいところを挙げだしたらキリがないのだが、背景描写が超越的に美しい。さすがはA-1 Pictures(アニメーション制作会社)である。他にもエンディングが凝っているところが素晴らしい。平成時代を彩った「LOVE 2000」や「CRAZY FOR YOU」などを主要キャラがカバーするのだから、一周回ってもはや罪深さすら感じる。キャラクターを崩さずに歌うことは至難の業だと思うのだが、それをやってのける声優さんの努力にも拍手を送りたい。

 アマゾンプライムビデオに12話が追加されるまでの時間を正座して待機したい──それは嘘だが、久しぶりに最後まで追いたくなるアニメに出会えた幸せを噛み締めている今日である。

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